ラインコンタミを防ぐ一台二役の垂直輸送

CASE 032

  • 処理:供給、輸送、ふるい分け、粉砕
  • 業種:化学
  • 原材料:希土類(レアアース)
  • 導入商品:バイブロリフト、連続式バイブロミル、バイブロフィーダ、電磁フィーダ、リバース式円形ふるい

依頼内容

化学メーカー様から「レアアース原料を粉砕して製品化する効率的な設備一式のエンジニアリングを依頼できないか」とのお話をいただきました。

課題・原因

製造したいのは10mmアンダーで高品質のレアアース製品です。しかし、既設ラインには空気輸送機が組み入れられていたため、その過程でコンタミが発生していました。レアアース原料の特性上、空気輸送ではどうしても輸送配管自体の摩耗が生じてしまうので、それらの混入は避けられません。品質向上のためにも、まずは輸送方法を改善し、ラインコンタミを防止することが最重要課題でした。また、予算と設置スペースがともに限られており、機器の選定や配置にも効率を良くする工夫が必要でした。あわせて、設備の稼働を長時間止めることができないので、トラブルやメンテナンスの際、作業が短時間ですむような構造にして欲しいとのご要望もありました。

提案内容

粉砕機は仕様上「連続式バイブロミル」が前提のため、ポイントはその前後工程の設計となります。まず、プランの軸にスパイラルエレベータ「バイブロリフト」を据えました。「バイブロリフト」は螺旋状のトラフに上昇振動を与えることで原材料を下から上に移動させることができるスパイラル式垂直輸送機です。輸送ライン自体の摩耗発生は極めて少ないうえ、設置面積が小さいので、品質向上かつ省スペースが実現できます。さらに、トラフには搬送方向と平行して左右幅の中央に仕切り板を加え2ルート構造にすることで、2種類の原料を同時に輸送することが可能になります。まさに一台二役、この工夫で輸送機1台分のコストとスペースを削減できます。また、オプションのユーラスバイブレータアセンブリユニット(スライドベースユニット)も提案に取り入れました。万が一「バイブロリフト」の動力であるユーラスバイブレータにトラブルが起きた場合でも、手早く予備品と交換ができるので短時間での復旧が可能となるからです。「バイブロリフト」前後工程の設計については、トラフの2ルートをそれぞれルートA、ルートBとしてご説明しました。まず、ルートAの前工程には供給機「バイブロフィーダ」を設置し、ルートAの受入口へNew原料を定量供給する。New原料は、ルートAで上方に搬送され、「連続式バイブロミル」に投入される。粉砕後の原料は次工程のふるい分け機「リバース式円形ふるい」で選別し、網下は製品として貯蔵用ホッパへ投入するが、サイズオーバーの網上原料は「電磁フィーダ」で横引きし、「バイブロリフト」ルートBの受入口に戻す。つまりルートBは、選別後の網上原料を再粉砕するための搬送ルートとして使用します。今回のエンジニアリングプランは、「バイブロリフト」を採用することで、ラインコンタミの防止だけではなく、目標粒度の製品が回収できるまで、粉砕後の網上原料を「連続式バイブロミル」に再投入できる「閉回路粉砕システム」としました。この提案内容に、お客様からは高い評価をいただき、早々に採用が決まりました。導入後は、「ラインコンタミもない安定した輸送になり、製品の品質が格段に向上した。低コストにもかかわらず、高機能の設備を提案してくれてありがとう」とのコメントをいただきました。また、「ユーラスバイブレータアセンブリユニットのおかげで定期メンテナンスも短時間化できている」とのことでした。