結露を防止する凍結乾燥用のふるい搬送

CASE 039

  • 処理:ふるい分け、輸送、乾燥
  • 業種:食品
  • 原材料:食品粉末
  • 導入商品:バイブロスクリーン

依頼内容

食品メーカー様から「凍結させた粉末を、結露を発生させずに乾燥機まで搬送できる装置を提案してほしい」とご依頼をいただきました。

課題・原因

新しく生産ラインを設計中とのことで、材料は食品粉末です。そのため、梱包の前段の乾燥工程に、「凍結乾燥」方式を採り入れることは決定していました。熱風や加熱による通常の乾燥だと、その際の熱で風味などが損なわれてしまいますが、凍結乾燥であれば、食品本来の味や香りや栄養を最大限に保つことができるからです。凍結乾燥の原理は、凍結した対象物を真空状態に置くことで水分を昇華(個体から水蒸気へ直接変化)除去するというものです。計画では、食品粉末を凍結機で-50℃に凍らせ、真空乾燥機へ運び入れる予定ですが、大きな課題は結露でした。何の対策も取らないと、搬送中トラフの結露が避けられないので、製品の品質に良くない影響が出てしまいます。また、真空乾燥機には真空時に材料を投入できないため、投入が非効率なバッチ式にならざるを得ず、生産性についても改善策を模索されていました。

提案内容

結露を防止するには、トラフ回りに対策を施す必要があります。そこで、振動式のふるい分け機「バイブロスクリーン」のトラフ部を2重のジャケット構造にカスタマイズし、ジャケットとトラフの隙間に断熱材を敷き詰めるというプランを土台としました。搬送にコンベヤではなくスクリーンを選択したのは、万が一材料に異物が混入していた場合でも、この最終直前の工程でそれを確実に除去できるため、品質保証につながると判断したからです。そして、生産性については、「バイブロスクリーン」を両送り仕様にすることで改善できると考えました。真空乾燥機を1台追加していただくことが前提となりますが、「バイブロスクリーン」の左右にそれぞれ真空乾燥機を配置し、材料の搬送方向を左右交互に切り替えながらふるい運ぶのです。切り替えのタイミングはコントローラの設定で自動制御できるので、実質的な連続運転が可能になります。これらの提案内容に対して、お客様は「トラフを断熱材で囲めるとは思わなかった」と大変驚かれましたが、構造図と保冷(防露)計算結果をご覧になり採用をご決断くださいました。納入後は、「凍結機から真空乾燥機までを実質連続運転できるので、生産効率が非常に良い。断熱材による保冷効果も計算通りで、結露もなく高品質な製品が作れている。メンテナンスの手間もほとんどなく助かる」とのお言葉をいただきました。